「意志の力」について論じるとき、引き寄せ系の文脈では流れ星のたとえ話が有名だが、次のようにもっと俗っぽく「現実的」にアレンジすることもできる。
いちど決めた願いや目標を明確に鮮明に具体的にこと細かく常に持ち続け、いつでも誰にでも説明できる「意思の力」は、たとえば突然目の前に現れた石油王にそれを余すところなくプレゼンして、欲しい条件・モノ・カネを1円単位で唱え上げる力である。
ある種の自己啓発が、ここまでの意思を迫るのかどうかは知らないが、我々の多くは意思が弱く、しばしば欠如しているのだから、流れ星のたとえ話を実践するために、願いの方を切り詰めようとする──その程度の意思では、結局「カネ」の二文字でさえ唱えきることができないだろう。
- 妥協のできないとりくみに携わる者が「意思の力」だけに頼るのは危うい──と言うとき、彼や彼女が自分の「意思」に押しつぶされて挫折する様を思い浮かべがちなのは、妥協の結果なにごともなしえない結末が物語として魅力に欠け、それでいて、ありふれているからではないか。