かの式典の選曲の話し

雑談

娯楽が少ないうえにゲームも少なかった時代なら、「社会現象」と持て囃されたゲームを代表する音楽は、その当時を生きた人々の共通体験として記憶に残ろうが、今のゲームは趣味嗜好レベルで細分化された娯楽の代表格で、今後もその傾向は変わりそうにないから、一定のゲーム音楽が特定世代の心に刺さる現象はますます生まれにくくなる、ように思える。その一方で過去のゲーム音楽が、自身のジャンルを代表できる、「クラシカル」な位置づけを求めるとすれば──案外その界隈はガチのクラッシック音楽業界よりも容易く権威になびくであろうね。

  • ゲーム音楽の「ないがしろにされよう」がたとえば、元来の文脈から切り離し、それっぽいBGMとしてフリー素材的に「いいように」使われることを意味するなら、楽曲の品位を損ねる、あるいは作り手の意図に反する使用が禁じられたり、その使用に対して正当な対価が支払われることによって、その作り手、作品自体、その文脈であるゲームの尊厳が守られ、「社会的地位」は向上したと言えるかもしれない。正当な対価が支払われようとも、文脈とのつながりに対する配慮を欠くなら、例えば世界的に権威ある式典で「いいように」使われるゲーム音楽は、それっぽさを演出すべくどこにでも使える優れた素材であることを全世界にアピールすることにならないか。それはゲームの名声と式典の権威をかさに着て売れたがる音楽として映らないか。
タイトルとURLをコピーしました