無駄に時間を買わない

ネットで良い感じの品物を見かけて、いま買うべきか、見送るべきか、商品ページやレビューサイトをぐるぐる廻って毎日10分、30分、1時間と時間を費やす──そんな様を見かねてだろうか、「理性的な自分」が、いままで悩んだ合計時間を冷酷に数え上げたあと、これ以上の無駄を重ねないために買う、「冷静な判断」を下してくれる。

逡巡・検討の繰り返しはこうして「理性的な自分」を呼ぶための儀式となり、儀式は次第に簡略化され、遠からず「理性的な自分」が内面に常駐するようになれば、人はいくらでも無駄遣いできるようになる──その無駄遣いで浮いた時間は、別の無駄遣いにあてられる。

もっともらしい理由で「理性的な自分」に絆されそうになった時こそ「悩む自分はあなたよりもずっとかしこい」と自信を持ちたいところ。私たちの悩みには無関心な「理性的な自分」が語ることは、個別具体性にたえないライフハックの時短テクニックでしかない。